2010年2月19日 ニューヨーク・タイムズ

 「 クラマス川に関する合意まとまる 」

クリスティーナ・シェヴォリー

 

 オレゴン州とカリフォルニア州北部を流れるクラマス川の4つの水力発電ダムが、合意の下で撤去されることになったが、この合意により、漁師、農民、環境保護団体およびアメリカ原住民グループ間の数十年にわたる水利権および漁業権に関する争いに終止符が打たれることになる。

 木曜日(2月18日)、ケン・サラザール内務長官、テッド・クロンゴスキーオレゴン州知事、アーノルド・シュワルツェネッガーカリフォルニア州知事、パシフィコープ社グレッグ・アベル最高経営責任者、およびアメリカ原住民3部族がダム撤去、350マイルにわたるクラマス川の回復、および農業・漁業間の水の共有権に関する大要を示す二つの合意書に署名した。

「クラマス川は長い間論争の代名詞であったが、今や協力と連携によりいかに難しい対立を解決できるかを示す素晴らしい例証となった」とサラザール氏は声明の中で述べている。

 クラマス川は、より多くの水を求める農民と、漁業権の改善を求める漁師との激しい争いの場であった。2001年の干ばつ時には、鮭を守るために灌漑用水が止められたが、水量が回復すると、何千匹もの鮭が死んだ。このため、ダムのせいで鮭の行き来が遮られ、水温が上昇するため病気が広まるのだという批判が起きている。

 これら4つのダム-3つはオレゴン州、1つはカリフォルニア州にある-はパシフィコープ社が所有し、両州へ電力を供給するために利用されている。最初のダム撤去は2020年の予定で、残りの3つもその後早急に撤去されることになる。

 とはいえ、ダム撤去は議会の承認と内務省による環境再調査の結果にかかっている。ダム撤去が最善の公益になるのか、流域に鮭が戻るのか、内務省は2012年3月までに判断を下さなければならない。

 「本日の歴史的合意は、我々が協力することで素晴らしい事を成し遂げられるという証である」とシュワルツェネッガー知事は用意された所見で述べた。「ここにいるすべての人たちがこの壮大なクラマス川のことを気に掛けており、我々は、この自然の驚異を今後何世代にも亘って守るための行動を今起こそうとしている」

 

ダム撤去の費用は4億5千万ドル(約405億円)と見積もられている。およそ2億5千万ドル(約225億円)がカリフォルニア州債の売却で、2億ドル(約180億円)がオレゴンおよびカリフォルニア両州においてパシフィコープ社の顧客に課せられる課徴金によって賄われる、と同社スポークスマンのアート・サッセ氏は述べている。

また、連邦政府は10億ドル(約900億円)の費用を負担し、クラマス川流域を10年かけて回復させていくことになる。

 

Special thanks

 M&M通訳メイト・おきなや 林 大介さん

 翻訳ボランティア H・Sさん

 

 ニューヨーク・タイムズ原文

  http://greeninc.blogs.nytimes.com/2010/02/19/agreement-reached-on-klamath-river/

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